軍馬/ウォーホース/スティード
War Horse(英)/Steed(英詩)

 軍用の馬。騎乗用途の他、運搬目的に使用されるものも含みます。
映画などの影響で競走馬のようなものをイメージしがちですが、当時はその方面での開発が進んでいなかったのと、そもそも瞬間的な速度より安定した持久力が要求されたため、その体高は低く(130〜150cm)、脚も太いものでした。
以下に代表的な軍馬を記載します(※いずれも品種ではなくタイプによる分類)。

デストリア(destrier)
 特に立派で強い軍馬。その大きさと評判から、「グレートホース(Great Horse)」とも。
体高は150〜160cm程度で、現代のサラブレッドと同じか少し小さい程度。
時代にもよりますが、値段は後述のコーサーの4〜25倍と非常に高価。
用途は戦争よりもむしろ、馬上試合に用いられる方が一般的でした。


コーサー(Courser)
 「戦う馬」を意味するイタリア語「Corsiero」が語源。
値段は前述の通りで、戦争の騎乗用馬として広く用いられました。


ラウンシー(Rouncey/Rouncy/Rounsey)
 訓練次第で、騎乗用、荷馬いずれの用途にも使える汎用馬。
なおこれらデストリア、コーサー、ラウンシーを総称して、「チャージャー(Charger)」とも呼ばれます。


ポールフリー(Palfrey)
 「汎用」を意味するドイツ語「Pferd」が語源。
そこそこ速く、安定した乗り心地で長距離を走れるため、「乗用馬」と呼ばれます。
良い血統種のポールフリーは、価格の面でデストリアにも匹敵します。
ポールフリーは乗馬や狩猟などに主に用いられます。


ジェネット(Jennet)
 血統の良いスペイン馬。ジェニットとも。
ポールフリーと同じく安定した乗り心地で、体躯が小型なために女性に人気のあったタイプ。
戦争の騎乗用馬として用いられることもありましたが、そちらの用途は稀です。