バイコーン
Bicorn(英仏)

シシュヴァーシュ
Chichevache(仏)

 バイコーンとは、「2本角」の意味。
「1本角」の馬ユニコーンとは、基本的には角の本数が異なるだけの亜種です。
しかしユニコーンは、本来2本角だったのが1本角として扱われるようになったらしい経緯があるため、これらは全く同一のものであった可能性も否定できません。

 時にこれらは対として扱われ、聖のユニコーンに対する邪のバイコーンという位置付けが為されます。
この傾向は、日本で特に強いようです。


 一方フランスのある寓話には、これとは全く異なるバイコーンが登場します。
人間の夫婦を食べる人食い人面牛で、をバイコーン、をシシュヴァーシュ(Chiche:痩せた、Vache:雌牛)と言います。

 バイコーンは良い夫らを食べ、シシュヴァーシュは良い妻らを食べます。
するとバイコーンは肥え、シシュヴァーシュは痩せ衰えていきます。

 この物語は飢饉の時代を背景としており、「良い妻=自分は食べずに夫に食べさせる女」を例えたものです。
また、肥えた雌牛は豊かな土地の象徴とされます。