リリス/リリム/リリトゥ
Lilith(英)/Lilitu(シュメール)

 メソポタミアの夜と嵐と病気と死の悪魔で、最古の記述は紀元前3,000年頃。
初期セム語で「夜」を意味する「Lyl」、あるいはシュメール語で「空気」を意味する「Lil」が語源と考えられています。
今日ではコウモリの翼を持った女や、蛇を体に巻きつけた女の姿で描かれることが多いですが、古くはフクロウの翼と鉤爪の足を持った姿で、現在にそのレリーフが残っています。

 405年に著された聖書のラテン語訳(ヴルガータ訳)で「ラミア」と訳されたことで、しばしばこれらは同一視されます。その影響か、リリスは子供をさらって喰らうとも。

 リリスは人類最初の男性アダムの最初の(イブ(Eve)の前の)妻であると言われますが、これは10世紀前後に著された作者不明の文献(『ベン・シラのアルファベット(The Alphabet of Ben-Sira)』)に端を発します。
その後様々な作家にこの設定が用いられ、やがて後年には広く知られるまでになりますが、あくまで教会にとってはイレギュラーなものでした。
 このリリスは意見の不一致によりアダムの元を離れ、やがて悪魔らとの間に大量の子を設けます。
この子らは「リリン(Lilin)」と呼ばれ、インキュバスサキュバスとしばしば同一視されます。