シルフ(/シルフィード)
Sylph(英)/Sylphe(仏)(/Sylphide(仏))

 錬金術師パラケルススが提唱した四大精霊。その内の大気の象徴。
ラテン語で「森」を意味する「Sylva」と、ギリシア語で「下級神性(≒妖精)」を指す「Nympe」を組み合わせた造語。このため、森の妖精として扱われることも。
空気に関するあらゆる事象司り、その存在は不可視であるとされます。

 シルフはその後民間伝承を経て、特にスプライトと混同されるようになります。これにより、姿形は小妖精として描かれることが多くなりました。
その他にも、例えば「高山の山頂に住まっている」「憤怒自惚れに満ちた女性は死後シルフになる」などの諸設定が付加されていきます。
 また有名なところでは、シェイクスピアの戯曲『テンペスト』(「嵐」の意)に登場する空気の精霊エアリアル(Ariel)は、このシルフであるとも言われます。


 よく「シルフは男性形、シルフィードは女性形」と言われますが、これは1,832年初演のバレエ劇『ラ・シルフィード(La Sylphide)』(※)に登場する女性シルフの固有名が影響しているものと思われます。
「Sylphe」自体は、男女の区別なく使われます。


似た名前の別の作品に、『レ・シルフィード(Les Sylphides)』(1,907年初演?)というものもあります。
『ラ・シルフィード』がストーリー性のある演劇であるのに対し、『レ・シルフィード』は踊りをメインとしたものとなっています。
ちなみに「La」は単数形女性冠詞で、「Les」は複数冠詞。