ミスリル
Mithril(英)

 J・R・R・トールキン著『指環物語』に登場する架空の金属。
Mithは「灰色」、rilは「輝き」を意味し、隠語で「まことの銀(True silver)」、または産地の名を取って「モリア銀」とも呼ばれます。

 ミスリルは鉄より軽く(比重<7.874g/cm3)、鉄より堅く(硬度>4.0)、決して黒ずむことはない(錆びにくい)金属だとされます。
何かしら実在のモデルがあるのかはトールキン本人の口から語られることがなかったので不明ですが、一説にはプラチナがそうであったのではないかと言われていました。
しかしプラチナは比重(21.45g/cm3)、硬度(3.5)共に条件を満たさないので現実的ではありません。

 後年では、ミスリルの条件に最も適合する金属として、チタンが挙げられました(※)。
チタンは比重が鉄より軽く(4.507g/cm3)、鋼鉄とほぼ同等の硬度を持ち(6.0)、また、プラチナとほぼ同等の耐蝕性(錆びにくさ)を持っています。
色も銀灰色で、「灰色の輝き」の名に違和感がありません。

単に「鉄より軽く堅い」だけの金属であれば、それなりに存在します。
以下は個人的な見解ですが、チタン以外の有力候補として、ゲルマニウムがあります。
ゲルマニウムは1,886年に銀鉱石より発見された銀灰色の希少金属で、比重5.323g/cm3、硬度6.0と、チタンより比重の面で若干劣るものの条件はクリアしており、耐蝕性も持ちます。
ゲルマニウムは温泉に含まれていたり、健康ブレスレットなどによく用いられている素材で、32度以上になると外に飛び出すマイナス電子が生体電流を整え血行を促進し、体調を整えるとも言われています(ただし科学的根拠はなし)。

つまりゲルマニウムは比重でチタンに劣る以外は魔力様要素も含んでおり、銀鉱石から発見されたことも「まことの銀」の名にふさわしく、ミスリルの候補としての条件は充分兼ね備えているのではないかと思います。