イデアとは、紀元前400年頃のギリシアの哲学者プラトン(Plato(英)/Platon(ギリシア)、本名はアリストクレス(Aristocles))の理論。
人間は洞窟の囚人のようなもので、背後からの光によって壁面に映し出された影を実存と思い込んでいるとし、真の実存は背後(イデア界)にこそあるという理論。
世界が絶えずうつろうのは影がゆらめくからであり、イデア界にあるその影の実体は不変の存在で、それこそが事物の正しい姿であるとします。
同じものを見たとしても個々人が感じる印象は様々ですし、時間の経過によっても捉え方は変化していきます。
これはイデア界にある事物の不完全な模造を感覚で認識しているからであり、その事物の本来の姿は、理性・知性で認識できるイデア界にあるとされます。
洞窟の囚人は生まれながらにして洞窟の壁面(現象界)しか知らないため、自分が見ているものが世界の本当の姿だと認識します。
けれどそういった常識の枠から脱却して初めて真実を捉えることができるとし、現象界からイデア界へ魂を転換させることが、哲学を学ぶことだと言います。
宗派による差異はありますが、仏教においては「イデア界」≒「悟りの境地」、「魂の転換」≒「解脱」に相当するものと考えて良いでしょう。
なおこの語イデアは、「アイデア(Idea(英)、思想、概念、理念)、アイデアル(Ideal(英)、理想的な、想像上の、架空の)」の語源となっています。