デュラハン
Dullahan(英)/Durahan(英)/Gan Ceann(ゲール)

 アイルランドの伝承に登場する妖精(旧神族)の一種。一般にはアンデッドとして扱われます。
自らの首を小脇に抱えた首なし騎士で、6頭の首なしの黒馬らに、「コシュタ・バワー(Coiste Bodhar)」と呼ばれる黒い馬車を牽かせているとされます。
しかし文献に反し、挿絵などでは単騎で描かれることが多いようです。

 デュラハンは人の死に際してその生命を刈り取りに来る死神のような存在で、死の1年前にはそれを予告しに来るとも言われます。
深夜の闇に現れ、どこへ逃げても先回りし、決して逃れることはできないとされます。
基本的に倒すことも追い払うこともできませんが、金にだけは恐怖心を示すようで、金貨や金のアクセサリーなどで追い払うことができます。

 デュラハンは古ケルトの神「Crom Dubh」が元になっていると言われています(※)。
「Crom Dubh」はゲール語で「黒くて曲がった」を意味する豊穣神で、毎年斬首による生贄を捧げられていた存在です。

元は女性の妖精だったという説がありますが、日本の文献以外では見受けられないようです。
同アイルランドの伝承にバンシー(「女性の妖精」の意)という、人の不幸や死を予告する妖精(幽霊)がいますが、恐らくはこれと混同された可能性があります。
なおとある伝承には、デュラハンがそのバンシーを伴って行動することもあるとするものがあります。