バシネット
Bascinet(英)/Bassinet(英)/Basinet(英)
2kg〜3kg

 14、15世紀のヨーロッパで主流だった兜で、特にフランスとイギリスで用いられました。
グレートヘルムの下に装着していたサーブレアを元に、それを発展させたものです。
グレートヘルムは衝突時に呼吸や視界が阻害されるなどランスとの相性が悪く、そのために戦場から廃れていったというのがバシネットの発達の理由でもあります。

 初期(14世紀初頭)のバシネットは単に側面と背面の板金を首まで伸ばしただけのもので、さながら当てのないバーブートといった形状をしていました。

 14世紀の第2四半世紀に入る頃、これにバイザーが取り付けられるようになります。
当時のバイザーはの辺りに蝶番がつけられており、容易に取り外すこともできました。
やがて1,370年頃には蝶番が両側面につけられるようになり、バイザーは完全に後ろまで回すことができるようになります。

 バシネットはこの円錐状の特殊なバイザーが大きな特徴の1つで、これを指してしばしば「犬面」「豚面」などとも呼ばれます。
しかしそれ以外にも、アメフトのヘルメットのような格子状の面もあります。
格子状の面のグレートバシネット(後述)は、剣道用の面のような形をしています。

 1,390年代にはこのバシネットにアヴェンテイルが取り付けられ、また各所の板金は強化され、バイザーも丸みを帯びてきます。
これはグレートバシネットと呼ばれ、その後およそ100年間、15世紀の間に渡って用いられました。
そして15世紀の終わり頃、バシネットは更なる発展形であるアーメットへと姿を変えます。