ロングボウ/コンポジットボウ
Long Bow(英)/Composite Bow(英)
150cm〜180cm、800g〜1,000g
ショートボウ
Short Bow(英)
〜100cm、500g〜800g
和弓
Japanese Bow(英)
七尺(212cm)〜七尺七寸(233cm)、〜1,500g

 最古の記録では、ロングボウは633年のイギリスに登場します。
後世の板金鎧さえも貫通でき、中世における最強の武器の1つです。
ロビンフッドの用いた弓としても知られます。

 50m離れた位置から通常武器よりも強力な一撃を浴びせられ、攻城戦においては火矢としても用いることのできるこのロングボウですが、林間部や接近戦には使えず(武器を持ち替えます)、夜襲においては全くの無力という弱点もありました。

 やがて銃器の威力と精度がロングボウのそれを上回るようになると、戦場からその姿を消すこととなります。
なお、複数の素材を組み合わせて強度を増した弓を、コンポジットボウ(合成弓)といいます。


 ショートボウは戦争用ではなく、狩猟用の弓です。
引きが軽い分当然ロングボウより威力は落ちますが、それは威力を落とした弓というわけではなく、林間部で小動物を相手に用いることを目的に作られたものです。


 和弓(洋弓と区別するためにこう呼びます)は日本で用いられた弓で、一般には「ロングボウよりも射程が長い(100〜200m)代わりに、命中率が低い弓」という認識がなされているようです。
正確にはどう違うかといいますと、

グリップ位置 洋弓は弓の中心、和弓は下から約1/3のあたり。
これにより和弓は自然と弓なりに矢が飛び、そのため射程が伸びます
実はロングボウも上向きに発射すれば射程は伸びるのですが、狙いと異なる的へ向けて発射することになるので、その分精度が落ちます。
和弓は狙いをつけたまま射程を伸ばせるのですが、距離の調整は使用者の経験に左右されるため、命中させるのが難しくなります。
 
矢のつがいかた 左手に弓、右手に弦を持つ場合、洋弓は矢先を弓身の左側(体の内側)にあてがい、人差し指、中指、薬指の3本(または薬指を除いた2本)で弦を引きます。
これに対し和弓は、弓身の右側(体の外側)に矢先をあてがい、親指で弦を引きます。
これは洋弓が歩兵弓を起源、和弓は騎兵(モンゴル)弓を起源としていることによります。
馬上で弓を用いる場合は、弓手に向かって矢を放つこととなります。
つまり馬の進行方向となる弓の右側(体の外側)に矢をつがえないと安定しません
歩兵が使う分にはその必要はないため、単純に威力と精度を求めた結果が前述のようになります。
 
矢の放ち方 洋弓は、矢をセットする部分が窪んでいる、あるいは弓身に穴が空いており、矢は弓の中心を通るように設計されています。
そのため、普通に放てば真っ直ぐに飛んでいきます。
和弓はそれがないので、矢を放つ際に持ち手の力を抜いて弓を回転させないと、矢は外側に向かって飛んでいってしまいます。
回転した際に弦が弓手に当たるので、篭手(アームガード)の装着が必要となります。

洋弓はグラスファイバーの弓とアルミの矢、和弓はいずれも竹製であるという説明も多々見受けられるようですが、これはあくまで現代のアーチェリーと古来の和弓を比較したものなので誤りです。
現代の和弓は高級品は竹製ですが、グラスファイバー、アルミの弓矢も作られています。

 和弓は強度の異なる竹や木を組み合わせて作られたコンポジットボウの一種で、見た目よりも強度があります。