ブレストプレート
Breast Plate(英)
ハーフアーマー
Half Armor(英)
4〜6kg
キュイラス/キュイラッサーアーマー
Cuirass(英)/Cuirasser Armor(英)
〜15kg

 ブレストプレートは、古くは紀元前のエジプトやバビロニアでも使用されていたものです。
当初は金属ではなく革が使用されていたり、金属といっても青銅や銅が主流でした(鉄の精製技術はヒッタイトが独占)。
また当時のものは、胴衣というよりはただ単に金属板を首からかけてあるだけといった感じのものでした。

 作製が容易なのが魅力ですが、対応部位や、当時の板金の質などの点で防御能力に問題があり、動きも鈍くなるので、チェインメイル普及後は廃れていきました。


 16世紀に入り、銃器の精度と威力が高まるにつれ、それまでの全身板金鎧の装甲では防げなくなっていきます。
銃弾を防ぎきれる厚さで全身鎧を作るとなると、歩くことすらできなくなってしまいます。
そこで、致命傷に繋がる部分(胴体)のみをそのような装甲で固め、あとは守りを捨てるという形が取られました。
「ぶ厚い鋼鉄の袖なしシャツ」とも言えるハーフアーマーはマスケット銃に対して有効な防御能力を発揮し、各地の標準装備となっていきます。


 17世紀半ばには、騎兵用の鎧が開発されます。
キュイラスとは胴鎧、キュイラッサーとは胸甲騎兵を意味します。
コンセプトはハーフアーマーと同じく、胴体の部分のみの防御を目的とした鎧です。

 厚みだけでなく、できるだけ丸い表面にすることによって、銃弾を「止める」のではなく「受け流す」作りとなっています。
また、装甲は前面のみで、これらのことからも、正面からの狙撃のみを意識した騎乗者のための鎧であることが分かります(背中に装甲がある場合もありますが、あくまで固定のため)。
重量はプレートメイルよりも若干軽い程度なので、騎乗して使うには妥当な数値と言えます。

 騎兵とは書きましたが、中世よりもむしろ近世の、サーベルなどを装備した軍人によって用いられる鎧です。
軍服の上に着込んで、肩にサッシュ(たすき)をかけている姿などが一般的に連想されるところでしょうか。