北欧神話/北欧伝承
Norse Mythology(英)

 かつて北欧に居を定めていたゲルマン民族の間に伝わる神話で、北欧伝承、ゲルマン神話とも。
ゲルマン民族は大移動を行ったためその地域の定義は曖昧ですが、根源としては現在の北欧五ヶ国(スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、アイスランド)からフィンランドを除く4ヶ国となります。
そしてこの北欧神話について知る資料として現在残っているのが、各種のエッダです。

 北欧神話の大まかな筋書きを以下に記します。

【創生期】
 まず最初にギンヌンガガップ(Ginnungagap。gapはギャップで、「裂け目」の意)があり、その間に氷の国ニフルヘイム(Niflheim)と炎の国ムスペルヘイム(Muspelheim)が出来ました。
そのニフルヘイムの氷とムスペルヘイムの炎がぶつかり合い、そこから最初の巨人ユミル(Ymir)が生まれます。
そして、同様にして生まれた雌牛アウズフムラ(Audhumla/Audhumbla/Audumla/Audumbla。アウズンブラ)が氷を舐めると、そこから最初の神ブーリ(Buri)が生まれました。
このブーリの孫にあたるのが、北欧神話の主神にあたるオーディン(Odin)です。
オーディンは2人の兄弟ら(ヴィリ(Vili)、ヴェー(Ve))と共にユミルに戦いを挑み、その体を引き裂いて流れ出た血を海に、肉を大地に、そして頭蓋骨を天として世界を創生します。

 最初の人間は、浜辺に流れ着いた2本の木から、オーディンら3兄弟によって作り出されました。
トネリコの木から作られたのはアスク(Ask)という男性が。
ニレの木から作られたのはエンブラという女性がそれぞれ作られました。

【北欧神話の世界】
 北欧神話は主にアース神族(AEsir)とヴァン神族(Vanir)、そして巨人族(Jotuns)によって構成されます。
オーディンを代表とするアース神族と、ニョルズ、およびフレイを代表とするヴァン神族はかつて敵対していましたが、後に和解します。
主神オーディンとその息子である戦神トール(Thor)、そして豊穣の神フレイ(Frey(r))を指して、北欧神話の三大神とします。

 巨人族はその神々より強い種族とされ、特に高位の者は戦神トールの槌ミョルニルでしか倒せないとされます。
なお、ラグナロクで有名なロキ(Loki)は後にアース神族入りをしますが、出身はこの巨人族です。

【終焉期】
 裏切り者のロキが巨人族やその他の化物を率いて、主神オーディン率いる神族に戦いを挑み、その結果神族と巨人族の時代に幕を閉じます。
人間はリーヴ(Lif)とリーヴスラシル(Lifdrasir)という2人の男女のみが生き残り、以後彼らを祖とした人間の世界となります。
詳しくはラグナロク参照。