グラム/バルムンク/ノートゥンク
Gram(英)/Gramr(古アイスランド)/Balmung(独)/Nothung(独)
2000cm、4,000g

 北欧神話に登場する剣で、主神オーディンが創り出した大剣。「怒り」の意。
ドイツでは叙事詩ニーベルングの歌』、歌劇『ニーベルングの指輪』で知られる物語で、それぞれの中では「バルムンク」、「ノートゥンク」と呼ばれています。
 グラムは柄に青い宝玉が埋め込まれた約2mのバイキングソードの姿で伝えられ、アーサー王伝説の岩に刺さった剣の話のモデルと言われます。

 オーディンはガウトランド王シゲイル(Siggeir)とヴォルスング(Volsung)の娘シグニュー(Signy)の結婚式の場に片目黒帽子の乞食の格好で現れ、このグラムを樹に突き刺した上で「引き抜いた者にこの剣を与える」と言い残し去っていきました。
これに最後に挑戦したシグニューの兄シグムント(Sigmund)が見事引き抜くことに成功し、このグラムの所有者となります。

 グラムを欲したシゲイルは引渡しを要求しますがこれを拒否され、これにより彼と彼の父親、男兄弟全てを罠にかけて殺してしまいます。
しかしシグムントだけはシグニューの機転で生き残り、復讐を誓ったシグニューは魔女に化け、兄シグムントとの間に息子シンフィヨトリ(Sinfjotli)を設けます。
 後にシンフィヨトリは見事シゲイルへの復讐を果たすのですが、この近親相姦の罪により、リンギ(Lyngi)王との交戦の最中に現れたオーディンとその槍グングニルによってグラムを叩き折られ、シグムントはそのまま戦死してしまいます。

 後年、シグムントとヒョルディース(Hjordis)の間に生まれたシグルズ(/ジークフリート/ザイフリート)(Sigrd(英)/Sigrdr(古アイスランド)/Siegfried(独))は、金欲によりドラゴンに変貌を遂げたドワーフのファフニール(ファーヴニル/ファフナー)(Fafnir/Favnir)を倒すべく、それに敵う剣を作るよう、その弟であり自らの養い親であるレギン(Regin)に頼みます。
しかし出来上がる剣はいずれも望むものではなく、最後にレギンは折れたグラムを取り出し、これを鍛え直します。
これにより見事ファフニールを倒すシグルズでしたが、彼もその後不遇の死を遂げてしまいます。
グラムの消息は、その後明らかではありません。